材料費を元請に請求するときの注意|「実費」で請求する方法と「立替金」で精算する方法の違い
下請の大工さんが材料を自分で買い、その代金を元請に請求する。現場ではよくある形ですが、「実費で請求する」といっても、書類の作り方には大きく2つの考え方があります。どちらにするかは元請との契約で決まり、税金の扱いも変わります。この記事は考え方の整理です。実際の処理は、元請と税理士に確かめてください。
2つの考え方
| A. ふつうの請求(材料も売上) | B. 立替金として精算 | |
|---|---|---|
| 考え方 | 自分が材料を買って、工事の一部として元請に売る | 元請の代わりに代金を払っただけで、自分の売上・仕入にはしない |
| 請求する金額 | 仕入値そのまま、または手間・管理費を乗せた額 | 払った額そのまま |
| 消費税 | 自分の売上として、請求書で消費税を計算する | 材料の仕入は元請の仕入になる。元請が仕入税額控除を受けるには、立替金精算書などの書類が要る |
| 主な書類 | 自分の請求書(インボイスの記載事項を満たすもの) | 建材店のインボイス(元請あて)と立替金精算書 |
建材店の領収書・納品書の宛名が自分なのか元請なのか、契約書に材料支給・材料込みがどう書いてあるかで、どちらに当たるかが変わります。
立替金で精算するときの書類(インボイス制度)
国税庁のQ&Aでは、立替払の取引について、次のように整理されています。
- 立替払をした側(例:大工さん)あてのインボイスを渡されただけでは、経費を負担する側(例:元請)は仕入税額控除を受けられない
- 立替払をした側が作る立替金精算書を、インボイスとあわせて受け取って保存することで、元請の仕入であることをはっきりさせる
- 立替払をした側が多く、インボイスのコピーを渡すのが難しい場合は、立替金精算書の保存だけで仕入税額控除を受けられる扱いもある
- 立替金精算書には、仕入先がインボイス発行事業者かどうかや、税率ごとの区分など、仕入税額控除に必要な事項を書く
つまり立替金にする場合、建材店から元請あてのインボイスをもらうことと、立替金精算書を作ることの両方が関わってきます。現場では、建材店に「元請あて」で出してもらえるかを先に確かめておく必要があります。
ふつうの請求にするとき
材料も自分の売上として請求する場合は、自分の請求書に材料費を明細として書き、工賃などと合わせて、税率ごとの合計と消費税を計算します。インボイスの登録をしているなら、登録番号を入れた適格請求書として出します。書き方は一人親方の請求書の書き方で説明しています。
このとき、材料の仕入は自分の経費になります。建材店から受け取る請求書・領収書は、自分あての宛名でもらい、保存しておきます。
どちらでも残しておきたい記録
- どの現場に、いつ、何を、いくつ、いくらで買ったか(品名・規格・数量・単価)
- 追加で買った分、返品した分、値引き、配送費
- そのうち、どこまで元請に請求したか(請求書の番号と、請求した数量)
- 建材店への支払いと、元請からの入金(2つは別々に記録する)
とくに「どこまで請求したか」が分からなくなると、請求漏れや二重請求の原因になります。現場ごとに記録して、請求した明細に印を付けておきます。
元請と最初に決めておくこと
- 材料代は「材料込みの請求」か「立替金の精算」か
- 建材店の請求書・領収書の宛名をどうするか
- 手間・管理費を乗せてよいか
- 締め日と支払日、請求書の書式の指定
- 現場ごとに分けるか、まとめて1枚にするか
材料の記録から請求までをつなげる
ザイジンでは、仕入・追加・返品・値引き・配送費を現場ごとに記録し、締め日に元請を選ぶと、まだ請求していない分だけが並びます。確定した明細は「請求済み」になり、次の請求には入りません。建材店への支払いと元請からの入金は別々に記録します。立替金として扱うかどうかなど、取引の区分は契約と税理士の判断に合わせてお使いください。